Moleculusモレキュラス 一覧 / ディールス・アルダー反応(シクロペンタジエンの二量化)

Diels-Alder Dimerization of Cyclopentadiene

ディールス・アルダー反応(シクロペンタジエンの二量化)の反応機構(巻矢印つき・機械検算済み)

Diels–Alder反応(二量化):シクロペンタジエン2分子 → ジシクロペンタジエン(endo)

全体式

+

反応機構(段ごと)

段 1
協奏的[4+2]付加環化(6電子が環状に同時移動)
試薬・条件: —(加熱/室温・無触媒)
12345678910

1分子目をジエン(C2=C3–C4=C5)、2分子目の二重結合C7=C8をジエノフィルとする。3本の矢印が環状に同時に動く:(1) ジエン末端のπ電子C2=C3がジエノフィルのC7を攻めて新しいσ結合C2–C7を作る(B)。(2) ジエノフィルのπ電子C7=C8がジエンのもう一方の末端C5を攻めて新しいσ結合C5–C8を作る(B)。(3) ジエンのもう一方のπ電子C4=C5が中央へ移動して新しい二重結合C3=C4を作る(B)。中間体を経ず1段で6員環ができ、ジエノフィル側のC9=C10は反応せず残る。

Q.なぜ中間体を経ず1段(協奏的)で進むのか

A.ジエンのHOMOとジエノフィルのLUMOが対称性よく重なり、6π電子が環状に巡る芳香族的な遷移状態を通れるから(熱的[4+2]は許容)。電荷を持つ中間体を作るより、軌道の重なりで一気に2本のσを作るほうが低障壁。

なぜこう進むのか

原理
Diels–Alder は[4+2]付加環化=協奏的ペリ環状反応。共役ジエン(4π電子)の両端と、ジエノフィル(2π電子)が、6電子が環状に同時に動いて1段で新しい6員環を作る。シクロペンタジエンはジエンとしてもジエノフィルとしても働けるので、室温で放置すると自身と二量化してジシクロペンタジエンになる(片方がジエン、もう片方の二重結合がジエノフィル)。
選択性
Q.なぜ endo 体が主生成物になるのか
A.遷移状態で、ジエノフィル側の残ったπ(もう一方の二重結合)とジエンのπ系が同じ側に重なる endo 配置のほうが、二次軌道相互作用(結合は作らないが軌道が同位相で重なる安定化)で遷移状態が下がるから(endo則・Alder則)。立体的には exo が有利だが、速度論支配でこの二次軌道相互作用が勝ち endo が主となる。
駆動力
2本のπ結合(σより弱い)が2本の新しいσ結合に置き換わるのが熱力学的駆動力。協奏的なので中間体(カチオン・ラジカル)を経ず、立体特異的(syn付加)に進む。

検算

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械検証済み。経路の妥当性は複数ありうる。

検算の内訳を見る
矢印⇄結合変化の整合整合fail=0 / check=0(全1段)
電荷保存保存全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達看板の生成物が機構の終着点に一致
生成物の分子式C10H12
PubChem 照合緑・完全一致完全一致(CID 6492)
tricyclo[5.2.1.02,6]deca-3,8-diene
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