Moleculus
有機化学リファレンス

Diels-Alder Reaction (2,4-Hexadiene + Methyl Acrylate)

ディールス・アルダー反応(ヘキサジエン+アクリル酸メチル)

Diels–Alder反応:(2E,4E)-2,4-ヘキサジエン+アクリル酸メチル → 2,5-ジメチルシクロヘキサ-3-エンカルボン酸メチル(協奏[4+2]環化付加)

全体式

出発物から生成物へ

+
基本形 General Form

反応の基本形

共役ジエン + ジエノフィル → シクロヘキセン([4+2])

加熱(協奏的 [4+2])Diels–Alder 反応([4+2] 環化付加)

s-cis ジエンと電子求引基つきジエノフィルが協奏的に [4+2] 環化してシクロヘキセンをつくる反応である。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

協奏的[4+2]環化付加(2σ結合+1π結合が同時形成)

試薬・条件室温

123456789101112
生成物(完成)
123456789101112

環状の遷移状態結合が切れかけ・できかけの、エネルギーが最も高い一瞬の状態。取り出すことはできない。で電子が一周する:(1)ジエノフィル(アクリル酸メチル)のC7=C8π電子がジエン末端C2を攻撃して新しいσ結合C2–C7を作り(A)、(2)ジエンのC2=C3π電子が中央へ移ってC3=C4の新しいπ結合を作り(B)、(3)ジエンのもう一方の末端C4=C5π電子がジエノフィルのC8を攻撃して新しいσ結合C5–C8を作る(A)。2本の新σ(C2–C7・C5–C8)とC3=C4のπが同時にでき、6員環(シクロヘキセン)が閉じる。C8にエステル、C2とC5にメチルが付く。

Q.なぜ協奏的複数の結合の切断と生成が、中間体を経ずに一度に同時に起こるさま。に一段で進むのか

A.ジエンのHOMOとジエノフィルのLUMOが位相よく重なり、6つのπ電子が環状に流れる芳香族的な遷移状態(Woodward–Hoffmann許容)を通れるから。中間体反応の途中で一時的にできる、ある程度の寿命を持つ化学種。遷移状態とは別物である。(イオン・ラジカル不対電子を1つ持つ、反応性の高い化学種。電荷を持たないことが多い。)を経ず、結合の生成・切断が同時=協奏。だから立体特異的出発物の立体配置に応じて、生成物の立体が一義的に決まる性質。になる。

考察

なぜこう進むのか

原理
共役二重結合と単結合が交互に並び、π電子がひと続きに広がった状態。ジエン(s-cis配座)とジエノフィル(アルケン)が[4+2]で協奏的複数の結合の切断と生成が、中間体を経ずに一度に同時に起こるさま。に環化付加し、シクロヘキセンを作る。ジエンの4π電子とジエノフィルの2π電子が一周する環状遷移状態結合が切れかけ・できかけの、エネルギーが最も高い一瞬の状態。取り出すことはできない。で、2本の新しいσ結合とジエン中央の新しいπ結合が同時にできる。アクリル酸メチルのエステルが電子求引でジエノフィルを活性化する(正常電子要請DA)。
選択性
Q.立体化学(2つのメチルの関係・エステルの向き)はどうなるか
A.(1)(2E,4E)-ジエンでは両末端のメチルがどちらも『外向き(アウトサイド)』なので、生成物で2つのメチルは互いにシス(同じ面)になる=ジエンの幾何が生成物の相対立体に転写される(協奏・syn的付加)。(2)endo則により、エステル(–CO2Me)はジエンのπ系と二次軌道相互作用する向き(endo)を好み、隣のメチルとシスの関係で入る。協奏反応なので立体特異的出発物の立体配置に応じて、生成物の立体が一義的に決まる性質。
駆動力
2本のσ結合(弱いπ×3→強いσ×2+π×1)ができる熱力学的に有利な過程。エステルの電子求引でジエノフィルのLUMOが下がり、ジエンHOMOとよく重なるため室温でも進む。
軌道

フロンティア軌道で見る

ジエンのHOMO(ψ₂)とジエノフィルのLUMO(π*)が、同じ面どうし(スプラ面型)で同位相に重なる=対称許容。図は基本形(ブタジエン+エチレン)。

ジエンのHOMO(ψ₂)とジエノフィルのLUMO(π*)が、同じ面どうし(スプラ面型)で同位相に重なる=対称許容。図は基本形(ブタジエン+エチレン)。

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検算 Verified

機構の正しさを機械で確かめる

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械で検証しています。妥当な経路は複数ありえます。

検算とは何か — 保証していないことも

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矢印⇄結合変化の整合整合 — fail=0 / check=0(全1段)
電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C10H16O2
PubChem 照合黄・骨格一致(CID 12426247・立体は未登録/不一致)
methyl 2,5-dimethylcyclohex-3-ene-1-carboxylate
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