Moleculus
有機化学リファレンス

4π Electrocyclic Ring Opening (Photochemical, Disrotatory)

4π電子環状反応(光・開環)

4π電子環状開環(光):cis-3,4-ジメチルシクロブテン →(hv)→ (2E,4E)-2,4-ヘキサジエン

全体式

出発物から生成物へ

基本形 General Form

反応の基本形

シクロブテン ⇌ 1,3-ブタジエン(4π電子系)

光(hν)、4π系は disrotatory(逆旋)電子環状反応(4π・光)

シクロブテンのσ結合が開いてブタジエンになる4π電子環状反応で、光では disrotatory に回る。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

協奏的4π電子環状開環(σ+πが環状に同時移動)

試薬・条件hv(光)

12347811213141
生成物(完成)
12347811213141

シクロブテンのsp3–sp3 σ結合C3–C4が、環内のπ(C1=C2)と一体になって協奏的複数の結合の切断と生成が、中間体を経ずに一度に同時に起こるさま。に開く。2本の矢印が環状に同時移動:(1) C3–C4のσ電子が片側へ移って新しい二重結合C2=C3を作る(B)。(2) C1=C2のπ電子がもう一方の末端へ移って新しい二重結合C1=C4を作る(B)。結果、4員環が開いて直鎖の共役二重結合と単結合が交互に並び、π電子がひと続きに広がった状態。ジエン(2,4-ヘキサジエン)になり、両端にメチルが付く。光励起ではジスロタトリー電子環状反応で、両末端の炭素が互いに逆向きに回転して環を閉じる・開く様式。(対旋)に回るので、cis-3,4-ジメチルから両メチルがともに外側に回り、両端ともE配置の(2E,4E)体になる。

Q.なぜ光ではジスロタトリー(対旋)で、cis体が(E,E)になるのか

A.4π系のフロンティア軌道反応の進みやすさはHOMOとLUMOの重なりで決まるとする考え方。福井謙一による。は、基底状態(熱)ではψ2がHOMOで末端ローブが同位相回り(コンロタトリー電子環状反応で、両末端の炭素が同じ向きに回転して環を閉じる・開く様式。)を要求するのに対し、光励起ではψ3に電子が上がり、その末端ローブの対称性が逆になってジスロタトリー(対旋)が許容になる。ジスロタトリーでは両末端が逆回りに回るため、cis-ジメチル(同じ面の2つのMe)は両方とも outward に振れ、両二重結合がEになる=(2E,4E)。

考察

なぜこう進むのか

原理
電子環状反応は、共役二重結合と単結合が交互に並び、π電子がひと続きに広がった状態。π系の末端どうしのσ結合がπ系と一体になって協奏的複数の結合の切断と生成が、中間体を経ずに一度に同時に起こるさま。に開閉するペリ環状反応電子が環状に動き、1つの遷移状態で協奏的に進む反応。。シクロブテンの開環は4π電子系(環内のπ1本+切れるσの2電子)が環状に同時に動き、sp3–sp3結合(C3–C4)が開いて直鎖の共役ジエン(1,3-ジエン)になる。中間体反応の途中で一時的にできる、ある程度の寿命を持つ化学種。遷移状態とは別物である。(カチオン・ラジカル不対電子を1つ持つ、反応性の高い化学種。電荷を持たないことが多い。)を経ず1段で進む。
選択性
Q.なぜ光条件でジスロタトリー電子環状反応で、両末端の炭素が互いに逆向きに回転して環を閉じる・開く様式。(対旋)に回り、cis体から(2E,4E)体が出るのか
A.4π電子系では、熱はコンロタトリー電子環状反応で、両末端の炭素が同じ向きに回転して環を閉じる・開く様式。(同旋)、光はジスロタトリー(対旋)が軌道対称性反応の進みやすさはHOMOとLUMOの重なりで決まるとする考え方。福井謙一による。から許容される。光励起では電子が1つ上のπ*軌道(光化学的HOMO)に上がり、その軌道の末端ローブの対称性が熱とは逆になるため回旋様式が反転する。光のジスロタトリーでは両末端炭素が逆向き(一方は時計回り、他方は反時計回り)に回る。出発物がcis-3,4-ジメチル(2つのメチルが環の同じ面)なので、ジスロタトリー開環では両メチルがともに外側(outward)に回り、両端の二重結合がともにE配置になって(2E,4E)-2,4-ヘキサジエンが立体特異的出発物の立体配置に応じて、生成物の立体が一義的に決まる性質。に生成する。
駆動力
環ひずみ(4員環の角ひずみ)の解消と、直鎖共役ジエン(広いπ共役)の生成。協奏的なので立体特異的(軌道対称性が末端の回旋方向を一意に決める)。
軌道

フロンティア軌道で見る

光励起で電子がψ₃に上がり、末端位相が反転して逆旋的が許容になる。図は(2E,4E)体の閉環方向で、両CH₃(外側)が同じ面に来てcis体になる。開環はこの逆行程。

光励起で電子がψ₃に上がり、末端位相が反転して逆旋的が許容になる。図は(2E,4E)体の閉環方向で、両CH₃(外側)が同じ面に来てcis体になる。開環はこの逆行程。

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電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C6H10
PubChem 照合緑・完全一致(CID 638071)
(2E,4E)-hexa-2,4-diene
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