Moleculusモレキュラス 一覧 / 4π電子環状反応(光・開環)

4π Electrocyclic Ring Opening (Photochemical, Disrotatory)

4π電子環状反応(光・開環)の反応機構(巻矢印つき・機械検算済み)

4π電子環状開環(光):cis-3,4-ジメチルシクロブテン →(hv)→ (2E,4E)-2,4-ヘキサジエン

全体式

反応機構(段ごと)

段 1
協奏的4π電子環状開環(σ+πが環状に同時移動)
試薬・条件: hv(光)
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シクロブテンのsp3–sp3 σ結合C3–C4が、環内のπ(C1=C2)と一体になって協奏的に開く。2本の矢印が環状に同時移動:(1) C3–C4のσ電子が片側へ移って新しい二重結合C2=C3を作る(B)。(2) C1=C2のπ電子がもう一方の末端へ移って新しい二重結合C1=C4を作る(B)。結果、4員環が開いて直鎖の共役ジエン(2,4-ヘキサジエン)になり、両端にメチルが付く。光励起ではジスロタトリー(対旋)に回るので、cis-3,4-ジメチルから両メチルがともに外側に回り、両端ともE配置の(2E,4E)体になる。

Q.なぜ光ではジスロタトリー(対旋)で、cis体が(E,E)になるのか

A.4π系のフロンティア軌道は、基底状態(熱)ではψ2がHOMOで末端ローブが同位相回り(コンロタトリー)を要求するのに対し、光励起ではψ3に電子が上がり、その末端ローブの対称性が逆になってジスロタトリー(対旋)が許容になる。ジスロタトリーでは両末端が逆回りに回るため、cis-ジメチル(同じ面の2つのMe)は両方とも outward に振れ、両二重結合がEになる=(2E,4E)。

なぜこう進むのか

原理
電子環状反応は、共役π系の末端どうしのσ結合がπ系と一体になって協奏的に開閉するペリ環状反応。シクロブテンの開環は4π電子系(環内のπ1本+切れるσの2電子)が環状に同時に動き、sp3–sp3結合(C3–C4)が開いて直鎖の共役ジエン(1,3-ジエン)になる。中間体(カチオン・ラジカル)を経ず1段で進む。
選択性
Q.なぜ光条件でジスロタトリー(対旋)に回り、cis体から(2E,4E)体が出るのか
A.4π電子系では、熱はコンロタトリー(同旋)、光はジスロタトリー(対旋)が軌道対称性から許容される。光励起では電子が1つ上のπ*軌道(光化学的HOMO)に上がり、その軌道の末端ローブの対称性が熱とは逆になるため回旋様式が反転する。光のジスロタトリーでは両末端炭素が逆向き(一方は時計回り、他方は反時計回り)に回る。出発物がcis-3,4-ジメチル(2つのメチルが環の同じ面)なので、ジスロタトリー開環では両メチルがともに外側(outward)に回り、両端の二重結合がともにE配置になって(2E,4E)-2,4-ヘキサジエンが立体特異的に生成する。
駆動力
環ひずみ(4員環の角ひずみ)の解消と、直鎖共役ジエン(広いπ共役)の生成。協奏的なので立体特異的(軌道対称性が末端の回旋方向を一意に決める)。

検算

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械検証済み。経路の妥当性は複数ありうる。

検算の内訳を見る
矢印⇄結合変化の整合整合fail=0 / check=0(全1段)
電荷保存保存全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達看板の生成物が機構の終着点に一致
生成物の分子式C6H10
PubChem 照合緑・完全一致完全一致(CID 638071)
(2E,4E)-hexa-2,4-diene
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