Moleculusモレキュラス 一覧 / 6π電子環状反応(熱・閉環)

6π Electrocyclic Ring Closure (Thermal, Disrotatory)

6π電子環状反応(熱・閉環)の反応機構(巻矢印つき・機械検算済み)

6π電子環状反応(熱・disrotatory): (2E,4Z,6E)-2,4,6-オクタトリエン→cis-5,6-ジメチル-1,3-シクロヘキサジエン

全体式

反応機構(段ごと)

段 1
6π電子環状閉環(協奏的・disrotatory・cis選択)
試薬・条件: Δ
12345678

6π電子系の両末端C2とC7が新しいσ結合をつくり6員環へ。3組のπが同じ向きに環状に流れ、二重結合はC3=C4とC5=C6へ移る。熱条件ではHOMO(ψ3)の末端ローブの対称性から、両末端が互いに逆向きに回るdisrotatory(対旋)閉環となる。出発物の幾何が(2E,4Z,6E)(trans,cis,trans)なので、disrotatoryだと2つのメチルが同じ面に来てcis(=メソ、C2とC7がR/S一対)の単一立体異性体を与える。逆に光照射(conrotatory)ならtransになるのが立体特異性の核心。

Q.なぜ中間体を経ず1段(協奏的)で閉じるのか

A.6π電子が環状に巡る芳香族的な遷移状態(ヒュッケル型)を通れるから。3本のπの6電子が同位相で重なり、熱で許容されるジスロタトリーの回旋で両末端炭素が回りながら新しいσができ、πが組み替わる。電荷やラジカルの中間体を作るより低障壁。

なぜこう進むのか

原理
電子環状反応は、共役ポリエンの両末端炭素どうしがσ結合を作って(または開いて)閉じる協奏的ペリ環状反応。ここでは直鎖トリエンの6π電子系(3本のπ)が環状に同時に動き、両末端C2–C7間に新しいσ結合ができて6員環(シクロヘキサジエン)になる。中間体(カチオン・ラジカル)を経ず1段で進む。
選択性
Q.なぜ熱条件でジスロタトリー(対旋)に回り、(2E,4Z,6E)体からcis体が出るのか
A.6π電子系の熱的電子環状反応は、基底状態のHOMO(ψ3)の両末端ローブが同符号どうしで向き合うため、両末端炭素が互いに逆向きに回る(対旋)ことで同位相のローブが重なり結合性のσができる=ジスロタトリーが許容。出発物が(2E,4Z,6E)(trans,cis,trans)だと、対旋では両末端のメチルがともに同じ面へ振れるので、生成物のシクロヘキサジエンでは2つのメチルがcis(メソ体)になる。光(コンロタトリー)ならtransになり、条件で立体が反転するのが電子環状反応の立体特異性の核心。
駆動力
π結合1本(弱い)がσ結合1本(強い)に置き換わるのが熱力学的駆動力。協奏的なので立体特異的に進む(軌道対称性が末端の回旋方向を一意に決める)。

検算

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械検証済み。経路の妥当性は複数ありうる。

検算の内訳を見る
矢印⇄結合変化の整合整合fail=0 / check=0(全1段)
電荷保存保存全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達看板の生成物が機構の終着点に一致
生成物の分子式C8H12
PubChem 照合緑・完全一致完全一致(CID 13412122)
(5S,6R)-5,6-dimethylcyclohexa-1,3-diene
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