Moleculus
有機化学リファレンス

Friedel-Crafts Alkylation

フリーデル・クラフツアルキル化

Friedel–Craftsアルキル化:1,4-ジメトキシベンゼン+t-ブチルアルコール(濃H2SO4)→ t-ブチル基の導入(1回分)

全体式

出発物から生成物へ

+ +
基本形 General Form

反応の基本形

Ar–H + R–X → Ar–R + HX

ハロゲン化アルキル(またはアルケン/アルコール+酸)・ルイス酸(AlCl₃ など)芳香族求電子置換(Friedel–Crafts アルキル化)

カルボカチオン等価体が芳香環を攻めてアルキル基を導入する求電子置換である(多置換・転位に注意)。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

t-ブチルカチオン生成① アルコールのプロトン化

試薬・条件H2SO4

12345630313233343536
この段のあと
12345630313233343536
Step2
Step3

求電子付加:環がt-ブチルカチオンを攻撃(アレニウム・律速)

試薬・条件t-Bu⁺

12341011121314152021222325
この段のあと
12341011121314152021222325

1,4-ジメトキシベンゼンの環π電子(C10=C11)がt-ブチルカチオンの炭素C1を攻撃して新しいC11–C1結合を作る(A)。環は芳香族性環状で平面のπ電子系が、規則を満たして特別に安定になる性質。を失い、正電荷がOMeの付いたC10(オキソカルベニウムとして強く安定化されるo/p位)に乗ったアレニウムになる。芳香族性を壊すこの段が律速。

Q.なぜカチオン側に2つ目の矢印が要らないのか

A.求電子剤電子が足りず、電子の余った相手(求核剤)から電子対を受け取る側の化学種。が裸のカルボカチオン炭素の上に正電荷を持つ、電子が足りず不安定な中間体。置換基の多い3級ほど安定になる。(空のp軌道)だから。ニトロ化のNO2⁺のように内部のπを組み替える必要がなく、環のπがそのまま空軌道へ入って1本の矢印で済む。

Step4

脱プロトンで再芳香族化(モノt-ブチル体)

試薬・条件HSO4⁻(塩基)

12341011121314152021222325303132333436
生成物(完成)
12341011121314152021222325303132333436

塩基HSO4⁻がsp3炭素C11のH25を引き抜き(C)、C11–H25の結合電子が環に戻ってC10=C11を再生する(B)=再芳香族化。2-t-ブチル-1,4-ジメトキシベンゼン(モノ置換体)が完成し硫酸が再生する。残った活性位置(C5相当)で同じ機構をもう一度繰り返すとジ-t-ブチル体になる。

考察

なぜこう進むのか

原理
EASの一型(アルキル化)。求電子剤電子が足りず、電子の余った相手(求核剤)から電子対を受け取る側の化学種。は第3級カルボカチオン炭素の上に正電荷を持つ、電子が足りず不安定な中間体。置換基の多い3級ほど安定になる。(t-ブチルカチオン)。t-ブチルアルコールを濃硫酸がプロトン化分子が水素イオン(H⁺、プロトン)を1つ受け取る操作。酸性条件でよく起こる。し、水が抜けて生じる。電子豊富な1,4-ジメトキシベンゼン(OMe×2が強い活性化基)がこのカチオンを攻め、付加→脱プロトン分子が水素イオン(H⁺)を塩基に引き抜かれて手放す操作。プロトン化の逆である。で戻る。同じことが2回起きて1,4-ジ-t-ブチル-2,5-ジメトキシベンゼンになる。
選択性
Q.なぜ 2,5 位に入るのか/なぜ転位結合や原子団が分子内で移動して、炭素骨格などが組み替わる過程。が起きないのか
A.2つのOMeはo/p配向の活性化基。OMeのオルト位(=もう一方のOMeのメタ位)が最も電子豊富で、立体の許す位置に入って2,5-ジ置換になる。t-ブチルカチオンは最初から第3級で最も安定なので、転位(より安定なカチオンへ組み替え)が起こらない=Friedel–Craftsアルキル化につきものの転位の心配がない、教材向きの基質。
駆動力
律速はアレニウム生成。OMeの酸素の孤立電子対結合に使われず、原子の上に対で残っている非共有の電子対。求核剤として攻める手になる。が正電荷を強く安定化する(オキソカルベニウム共鳴1つの構造式では描き切れない電子の広がりを、複数の極限構造で表す考え方。)ので、ジメトキシベンゼンは弱い試薬でも反応する。再芳香族化で安定化。硫酸は触媒反応を速めるが、自身は反応の前後で消費されず再生される物質。で再生。
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近い反応・対になる反応

同じ中間体・対になる選択性・連続する変換など、位置の近い反応です。反応マップで全体の中での位置も見られます。

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検算 Verified

機構の正しさを機械で確かめる

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械で検証しています。妥当な経路は複数ありえます。

検算とは何か — 保証していないことも

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矢印⇄結合変化の整合整合 — fail=0 / check=0(全4段)
電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C12H18O2
PubChem 照合緑・完全一致(CID 88792)
2-tert-butyl-1,4-dimethoxybenzene
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