Moleculusモレキュラス 一覧 / カルボニルへの求核付加(基礎)

Nucleophilic Addition to a Carbonyl

カルボニルへの求核付加(基礎)の反応機構(巻矢印つき・機械検算済み)

求核付加の最小例(土台):ホルムアルデヒド(H2C=O)+水酸化物イオン(OH⁻)→ アルコキシド HOCH2O⁻。一般式(求核剤Y⁻がカルボニルに付加)を、最も素直な求核剤OH⁻で具体化した例。

全体式

+

反応機構(段ごと)

段 1
水酸化物イオンのカルボニル炭素への求核付加
試薬・条件: OH⁻(水酸化物イオン)
123456

水酸化物イオンの酸素O5の孤立電子対が、カルボニルの炭素C1を攻めて新しいO5–C1結合を作る(A)。C1は電気陰性度の強い酸素O2に電子を引かれてδ+(電子が薄い)になっているので、攻められる側になる。玉突きで、C1=O2のπ電子が酸素O2へ降りていく(B)。その結果、平面だった炭素C1が四本足(sp3)に組み変わり、酸素O2が負電荷を持つアルコキシド(HOCH2O⁻)になる。負電荷は電気陰性度の強い酸素の上に乗るので安定。

Q.なぜ攻めた後、負電荷は炭素ではなく酸素の上に乗るのか

A.求核剤が炭素を攻めると、行き場を失った C=O のπ電子(2個)は玉突きで酸素の側へ逃げる。酸素は電気陰性度が強く電子を抱えても安定でいられるので、負電荷は酸素の上に乗る(アルコキシド)。炭素の上に負電荷を残すより、はるかに安定な逃がし方。

なぜこう進むのか

原理
カルボニル C=O は、酸素の電気陰性度が炭素より強いので、炭素がδ+(電子が薄い)・酸素がδ−(電子が濃い)に分かれている。だから電子が余った求核剤(ここでは OH⁻)は、電子の薄い炭素(δ+)を攻める。攻められると C=O のπ電子は玉突きで酸素へ逃げ、酸素が負電荷を持つアルコキシドになる。これが求核付加の一手そのもの。
選択性
Q.なぜ求核剤は酸素ではなく炭素の側を攻めるのか
A.C=O では酸素が電子を強く引くので、炭素が電子の薄いδ+、酸素が電子の濃いδ−になっている。求核剤は電子が余っている側なので、電子が足りない(=δ+の)炭素を攻める。電子が濃い酸素を攻めても、電子どうしで反発するだけで結合はできない。
駆動力
電子が余った求核剤 OH⁻ と、電子が薄いδ+の炭素が結びつくと、両者にとって都合がよい(電子の過不足が解消される)。生じる負電荷は電気陰性度の強い酸素の上に乗るので、炭素の上に乗るより安定。平面の C=O に求核剤が付いて炭素が四本足(sp3)に組み変わる、これが求核付加の型。

検算

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械検証済み。経路の妥当性は複数ありうる。

検算の内訳を見る
矢印⇄結合変化の整合整合fail=0 / check=0(全1段)
電荷保存保存全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達看板の生成物が機構の終着点に一致
生成物の分子式CH3O2-
PubChem 照合緑・完全一致完全一致(CID 18615346)
hydroxymethanolate
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