Moleculus
有機化学リファレンス

Proton Transfer (Acid-Base)

プロトン移動(酸・塩基の基礎)

プロトン移動(酸・塩基):酢酸+水酸化物イオン → 酢酸イオン(カルボキシラート)+水。「巻矢印の文法」「酸・塩基」の土台例。

全体式

出発物から生成物へ

+
基本形 General Form

反応の基本形

A–H + B⁻ → A⁻ + B–H

酸・塩基酸・塩基(プロトン移動)

酸から塩基へプロトンが移る、巻矢印の文法の最小例である。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

水酸化物イオンによる脱プロトン(酢酸イオンの生成)

試薬・条件OH⁻(塩基)

1234567
生成物(完成)
1234567

水酸化物イオンOH⁻の酸素O6には孤立電子対結合に使われず、原子の上に対で残っている非共有の電子対。求核剤として攻める手になる。が余っている(塩基=Hを受け取る側)。この孤立電子対が、酢酸のO–Hの水素H5に向かって伸び、新しいO6–H5結合を作る(C)。同時に、玉突きで元のO4–H5結合の電子2つが酸素O4へ戻る(B)。結果、H5は水(O6側)に移り、酢酸の酸素O4は負電荷を持つ酢酸イオン(カルボキシラート)になる。動いた電子はこの2本の矢印だけ。

Q.なぜO–Hの水素がねらわれ、抜けたあとが安定なのか

A.O4は電気陰性度結合の電子対を引き寄せる強さの尺度。大きい原子ほど電子を引き、分極を生む。が大きく、もともとO–Hの水素をδ+電気陰性度の差で結合の電子が偏り、δ+とδ-の部分電荷が生じること。(電子が薄い)にしている=塩基が取りに行きやすい。しかも抜けたあとにO4へ残る負電荷は、共鳴1つの構造式では描き切れない電子の広がりを、複数の極限構造で表す考え方。で隣のO3にも均等に広がる(2つの酸素で分け合う)。負電荷は一点に集まると不安定、広がると安定なので、この共鳴のおかげで酢酸のO–Hはとても抜けやすい。

考察

なぜこう進むのか

原理
酸・塩基とは水素(H⁺)のやり取り。塩基(電子が余っている側=ここではOH⁻)が、酸のいちばん抜けやすい水素を引き抜く。抜くのはただ1本の水素で、電子は2回だけ動く(塩基がHを取りに行く矢印と、残ったO–H結合の電子が酸素へ戻る矢印)。これが巻矢印の一番やさしい形(プロトン移動=C型)。
選択性
Q.酢酸には水素がたくさんあるのに、なぜO–Hの水素だけが抜けるのか
A.抜けたあとに残る負電荷が安定な水素ほど抜けやすい。O–Hの水素を抜くと負電荷が酸素に残り、その負電荷は共鳴1つの構造式では描き切れない電子の広がりを、複数の極限構造で表す考え方。で2つの酸素に広がって安定(カルボキシラート)。一方CH3の水素を抜くと負電荷が炭素に残り、広げる先が無くて不安定。だから安定な側=O–Hの水素が選ばれる。
駆動力
酢酸(pKa 4.76)は水(pKa 15.7)よりずっと強い酸=Hを手放しやすい。強い酸の水素が弱い酸(水)側へ移るので、平衡は右(酢酸イオン+水)へ大きく偏る。差は約11で、10の11乗ほど右に寄る。生成した酢酸イオンの負電荷が共鳴で分散して安定なことが、この駆動力の中身。
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検算 Verified

機構の正しさを機械で確かめる

この機構は機械検算を通過しています。

原子の保存・電子の流れ・生成物への到達を機械で検証しています。妥当な経路は複数ありえます。

検算とは何か — 保証していないことも

検算の内訳を見る
矢印⇄結合変化の整合整合 — fail=0 / check=0(全1段)
電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C2H3O2-
PubChem 照合緑・完全一致(CID 175)
acetate
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