機構図は、出発物と生成物を同じ原子番号(アトムマップ)で書く前提で作っています。この前提があるおかげで、結合の変化と巻矢印を機械が突き合わせられます。以下の項目はすべてビルド時に決定論的に(機械学習を使わず)計算しており、結果はそのまま各機構ページの検算欄に表示しています。あらかじめ書き込んだ「合格」ではありません。
機械が確かめていること
- 構造の妥当性:各段の出発物・生成物のSMILESをRDKitで読み込み、原子価やオクテットが破綻していないかを確かめます。
- 原子の保存:段の前後で原子の種類と数(組成式)が一致するかを照合し、増減があれば検出します。
- 電荷の保存:段の前後で総形式電荷が一致するかを確かめ、プロトンや対イオンの付け忘れを拾います。
- アトムマップの整合:前後で同じ番号の原子が同じ元素かを確かめます。片側にしか現れない番号や、番号の付いていない重原子(=検算の死角)も検出します。
- 矢印と結合変化の対応:出発物と生成物を同じ原子番号で書く前提のもと、生成・開裂・次数変化した結合を計算し、その変化に関わる原子がすべて巻矢印で触れられているかを照合します(矢印が本当に次の中間体を生むか)。
- 矢印の向き:電子は「切れる結合・孤立電子対」から出て「できる結合・原子」へ向かいます。この向きに反する矢印を検出します。
- 電子の簿記と電荷変化の一致:各巻矢印が動かす電子対から、各原子の形式電荷がいくつ変わるはずかを計算し、実際の変化と突き合わせます。二重計上や逆向きの矢印を拾います。
- 中間体の鎖の連続:ある段の生成物が次の段の出発物とつながり、機構全体が途切れていないかを確かめます。
- 生成物への到達:最初に掲げた生成物が、機構のいずれかの段で実際に生成されるかを確かめます(内部整合)。看板の生成物が最終段より前で遊離し、最後の段が副生成物の後始末で終わる機構もあるため、最終段だけでなく全段の生成物と照合します。
- 立体変化の申告:段の前後で立体(R/S・E/Z)が変わる箇所を検出し、その段で立体が新たに決まる場合は「要確認」と申告します。
生成物の照合(PubChem)
生成物のSMILESを、化合物データベース PubChem の登録データと突き合わせます。完全一致(緑)・骨格は一致するが立体は未確認(黄)・該当なしの三段階で表示します。「該当なし」は誤りという意味ではなく、機械では照合できないため目視で確かめる対象、という印です。
機械には確かめられないこと
機械検算が言えるのは「図の内部が整合している」ところまでです。次のことは保証していません。
- 経路が正しいか・唯一か:検算は「描かれた図が内部で整合しているか」を確かめるものです。その反応が本当にこの経路で進むのか、より妥当な別経路がないのかまでは、機械には分かりません。経路の選び方は作成者の判断であり、こちらは人の目で別途レビューしています。
- 反応が現実に起こるか:収率、反応条件(温度・溶媒・時間)の妥当性、副反応の有無などは検算の対象外です。
- 立体化学の予測:立体が新たに決まる段は申告しますが、面選択性などから最終的にどちらの立体になるかまでは、機械は決めません。
- 化学的な正しさそのもの:形式が整っていても化学が正しいとは限りません。最終的な妥当性は人が確かめています。
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