Moleculus
有機化学リファレンス

Williamson Ether Synthesis

Williamsonエーテル合成

Williamsonエーテル合成:ナトリウムエトキシド CH3CH2O⁻Na⁺ + ブロモエタン CH3CH2Br → ジエチルエーテル CH3CH2OCH2CH3 + 臭化物イオン Br⁻。アルコキシド(アルコールの共役塩基)が求核剤となってハロゲン化アルキルの炭素を背面から攻め、脱離基Br⁻が抜ける1段のSN2反応。非対称エーテルも作れる、エーテル合成の定番。

全体式

出発物から生成物へ

+
基本形 General Form

反応の基本形

R–O⁻ + R'–X → R–O–R' + X⁻

アルコキシド + 1級ハロゲン化アルキル(SN2)求核置換(Williamson エーテル合成)

アルコキシドがハロゲン化アルキルの炭素をSN2で攻め、エーテルを作る合成である。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

背面攻撃と脱離(協奏的なSN2・1段)

試薬・条件CH3CH2O⁻(アルコキシド求核剤)

123456
生成物(完成)
123456

アルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。(エトキシド)の酸素O3の孤立電子対結合に使われず、原子の上に対で残っている非共有の電子対。求核剤として攻める手になる。が、ブロモエタンの電子の薄い炭素C5(臭素に電子を引かれてδ+電気陰性度の差で結合の電子が偏り、δ+とδ-の部分電荷が生じること。)を背面から攻撃して新しいC5–O3結合を作る(A)。それと同時に、玉突きでC5–Br6の結合電子が丸ごと臭素Br6へ移り、Br⁻が脱離する(B, 脱離矢印)。攻撃と脱離が別々の段に分かれず1段で同時に起こるSN2で、中間体反応の途中で一時的にできる、ある程度の寿命を持つ化学種。遷移状態とは別物である。はできない。単純なSN2ページがOH⁻を求核剤電子が余っていて、電子の足りない相手(求電子剤)へ電子対を差し出して結合をつくる化学種。にするのに対し、ここでは前もってエタノールをNaやNaHで脱プロトン分子が水素イオン(H⁺)を塩基に引き抜かれて手放す操作。プロトン化の逆である。して作ったアルコキシド CH3CH2O⁻ を求核剤に使う——これが求核剤に『作りたいエーテルの片割れ』を仕込むWilliamson合成の勘所。攻撃を受けるC5は1級炭素で立体的に空いており、SN2が最も進みやすい。生成物はジエチルエーテル CH3CH2OCH2CH3 と臭化物イオン Br⁻。

Q.なぜ求核剤にアルコキシド CH3CH2O⁻ を使い、中性のエタノール CH3CH2OH のままでは使わないのか

A.中性のアルコールも酸素に孤立電子対を持つが、負電荷を帯びたアルコキシドのほうが酸素上の電子密度が高く、求核性がずっと強い。SN2で1段で炭素を攻めきるには、この強い求核剤が要る。だから反応の前段でエタノールを金属ナトリウムや水素化ナトリウムNaHで脱プロトンし、アルコキシドに変えておく(この脱プロトン自体は酸塩基反応で、SN2の巻矢印とは別の段)。求核剤をアルコキシドにして初めて、狙ったエーテルへ収率よく進む。

考察

なぜこう進むのか

原理
Williamsonエーテル合成の正体は、求核剤電子が余っていて、電子の足りない相手(求電子剤)へ電子対を差し出して結合をつくる化学種。アルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。であるSN2そのもの。前段としてアルコール(ここではエタノール)を金属ナトリウムや水素化ナトリウムNaHで脱プロトン分子が水素イオン(H⁺)を塩基に引き抜かれて手放す操作。プロトン化の逆である。し、アルコキシド CH3CH2O⁻ を作っておく——これが単純なSN2ページ(OH⁻を求核剤にする最小例)との文脈上の違いで、求核剤を『使いたいエーテルの片割れ』としてあらかじめ仕込む点がこの反応の設計思想。生成したアルコキシドは酸素上に負電荷を持つ強い求核剤で、ハロゲン化アルキルの電子が薄い炭素(δ+電気陰性度の差で結合の電子が偏り、δ+とδ-の部分電荷が生じること。)へ孤立電子対結合に使われず、原子の上に対で残っている非共有の電子対。求核剤として攻める手になる。を差し出して新しいC–O結合を作る。ちょうどその裏側で炭素と臭素の結合電子が丸ごと臭素へ移ってBr⁻が抜け、攻めと脱離が釣り合って中間体反応の途中で一時的にできる、ある程度の寿命を持つ化学種。遷移状態とは別物である。を作らずに一気にエーテルができる。
選択性
Q.非対称エーテルを作るとき、アルコキシドとハロゲン化アルキルにどう役割を振り分けるのか
A.SN2なので、炭素を攻められる側(アルコキシド)と、背面攻撃求核剤が脱離基のちょうど反対側から近づく攻め方。立体配置が反転する。を受ける側(ハロゲン化アルキル)に反応の型で役割が決まる。立体障害の少ない1級ハロゲン化アルキルをSN2を受ける側に選ぶのが定石で、2級・3級はSN2が遅く、強塩基であるアルコキシドによってE2脱離(アルケン生成)に流れてしまう。ここではブロモエタン(1級)が背面攻撃を受け、エトキシドが攻める。どちらの炭素骨格をアルコキシド側・ハロゲン化物側にするかを選べるので、非対称エーテルも設計して作れる。
駆動力
電子が余ったアルコキシド求核剤が電子の薄い炭素(δ+)を攻めるという有機反応の基本の一手に加え、抜けたあと負電荷を安定に抱えられる良い脱離基結合の電子対を持ったまま分子から抜けていく原子や原子団。抜けたあと安定なほど良い脱離基となる。Br⁻が出ていくことで反応が進む。臭素は電気陰性度結合の電子対を引き寄せる強さの尺度。大きい原子ほど電子を引き、分極を生む。が強く、結合電子を丸ごと引き受けて負電荷を安定に持てるので抜けやすい良い脱離基になる。1級基質+良い脱離基+強い求核剤という、SN2に最も有利な組み合わせ。
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電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C4H10O
PubChem 照合未照合 — キャッシュに結果なし
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