Moleculus
有機化学リファレンス

Wittig Reaction (Stabilized Ylide)

Wittig反応

Wittig反応(安定化イリド・E選択):ベンズアルデヒド PhCHO + Ph3P=CHCOCH3(安定化イリド)→ (E)-4-フェニル-3-ブテン-2-オン((E)-エノン)+ トリフェニルホスフィンオキシド Ph3P=O。C=OをC=Cに置き換える炭素–炭素二重結合形成で、アルデヒドがα,β-不飽和メチルケトン(エノン)に変わる。安定化イリドではオキサホスフェタン形成が可逆・熱力学支配になり、立体障害の小さいtrans型オキサホスフェタンを経てE体が主生成物になる。

全体式

出発物から生成物へ

+
基本形 General Form

反応の基本形

R–CHO + Ph₃P=CH–EWG → R–CH=CH–EWG(E選択)+ Ph₃P=O

安定化イリド → 熱力学支配で E 選択カルボニルへの求核付加(Wittig 反応)

安定化リンイリドがアルデヒドと反応してC=Cを作り、熱力学支配でE体アルケンを主に与える反応である。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

イリドの炭素がアルデヒドのカルボニルを攻撃(ベタイン)

試薬・条件Ph3P=CHCOCH3(安定イリド)

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この段のあと
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イリド隣り合う原子に+と-の電荷が同居した、中性だが反応性の高い化学種。のP=C二重結合(カルバニオン炭素の上に負電荷を持つ化学種で、強い求核剤・塩基としてはたらく。性のC69)が、アルデヒドのカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素C9を攻撃して新しいC69–C9結合を作る(A)。玉突きでC9=O10のπ電子が酸素O10へ降りてアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。(O⁻)になる(B)。リンは正電荷(P⁺)、酸素は負電荷(O⁻)の双性イオン=ベタインになる。ベンゼン環は反応に関与しない傍観者。

Q.なぜイリドの炭素が求核剤電子が余っていて、電子の足りない相手(求電子剤)へ電子対を差し出して結合をつくる化学種。になれるのか

A.イリドは Ph3P⁺–C⁻ ↔ Ph3P=C の共鳴1つの構造式では描き切れない電子の広がりを、複数の極限構造で表す考え方。で、炭素に高い電子密度(カルバニオン性)を持つから。隣のリンが正電荷を安定化し、炭素がカルボニルへの求核剤になる。

Step2

ベタインが閉環してオキサホスフェタン(P–O結合形成)

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この段のあと
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ベタインのアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。酸素O10⁻の孤立電子対結合に使われず、原子の上に対で残っている非共有の電子対。求核剤として攻める手になる。が、正電荷を帯びたリンP⁺50を攻撃して新しいO10–P50結合を作る(A)。四員環(P50–C69–C9–O10)のオキサホスフェタンが閉環する。リンは5価の中性、電荷が消える。

Step3

[2+2]逆開裂:アルケン+Ph3P=O((E)-エノン完成)

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生成物(完成)
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四員環が[2+2]逆開裂で同時に2本切れる。P50–C69結合の電子がC9=C69の二重結合を作りに行き(B)、C9–O10結合の電子がP50=O10の二重結合を作りに行く(B)。アルケン((E)-4-フェニル-3-ブテン-2-オン:PhCH=CH–COCH3)と、非常に安定なトリフェニルホスフィンオキシド Ph3P=O に分かれる。安定イリド隣り合う原子に+と-の電荷が同居した、中性だが反応性の高い化学種。なのでE体が主に得られる。

Q.なぜ一気に分かれるのか(駆動力)

A.生成するP=O結合が非常に強く安定だから。四員環のひずみ解消とP=O生成が、[2+2]逆開裂を不可逆に駆動する。

考察

なぜこう進むのか

原理
リンイリド隣り合う原子に+と-の電荷が同居した、中性だが反応性の高い化学種。(Ph3P⁺–C⁻ ↔ Ph3P=C)のカルバニオン炭素の上に負電荷を持つ化学種で、強い求核剤・塩基としてはたらく。がアルデヒドのカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素を攻撃→ベタイン→四員環オキサホスフェタン(P–O結合形成)→[2+2]逆開裂でアルケンとトリフェニルホスフィンオキシド Ph3P=O に分かれる。C=OをC=Cに置き換える炭素–炭素二重結合形成。ベンズアルデヒドがα,β-不飽和メチルケトン(エノン)に変わる。
選択性
Q.なぜ(E)体が主生成物になるのか
A.イリドの炭素にアセチル(–COCH3)が付いた安定イリド(共役二重結合と単結合が交互に並び、π電子がひと続きに広がった状態。で安定化された反応性の低いイリド)では、オキサホスフェタン形成が可逆で熱力学支配になり、立体障害の小さいtrans型オキサホスフェタンを経て(E)-アルケンが優先するから。反応するのはアルデヒドのカルボニルだけで、ベンゼン環は傍観者。
駆動力
非常に強いP=O結合(Ph3P=O)の生成が大きな駆動力。四員環オキサホスフェタンの[2+2]逆開裂で、安定なP=Oとアルケンが一気に生じる方向へ進む。
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検算 Verified

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検算とは何か — 保証していないことも

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矢印⇄結合変化の整合整合 — fail=0 / check=0(全3段)
電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C10H10O
PubChem 照合未照合 — キャッシュに結果なし
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