Moleculus
有機化学リファレンス

Grignard Addition to an Ester (Tertiary Alcohol)

エステルへのGrignard2当量付加

エステルへのGrignard2当量付加:安息香酸メチル+EtMgBr(2当量)→(H2O)→ 3-フェニルペンタン-3-オール(第三級アルコール)

全体式

出発物から生成物へ

+ +
基本形 General Form

反応の基本形

R–CO–OR'' + 2 R'MgX → R–C(OH)R'₂(第三級アルコール)

R'MgX 2当量・無水エーテル → H₃O⁺後処理カルボニルへの求核付加(エステルへの2当量付加)

エステルにGrignard 試薬が2当量付加し、ケトンを経て同じ置換基を2つもつ第三級アルコールを与える反応である。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

1回目のGrignard付加(四面体中間体)

試薬・条件EtMgBr(1当量目)

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この段のあと
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Grignardのエチル等価体C20(硬い炭素求核剤電子が余っていて、電子の足りない相手(求電子剤)へ電子対を差し出して結合をつくる化学種。)が安息香酸メチルのカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素C7を攻撃して新しいC7–C20結合を作る(A)。玉突きでC7=O8のπ電子が酸素O8へ降りてアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。(O⁻)になる(B)。C7がsp3四面体中間体カルボニルに求核剤が付き、炭素がsp3の四面体形になった中間体。になる。Mg²⁺・Br⁻は対イオン。

Q.なぜカルボニル炭素(1,2位)を攻めるのか

A.Grignardは硬い(電荷制御の)炭素求核剤で、部分正電荷が最も大きい硬い求電子点=カルボニル炭素を直接攻める。ギルマン試薬(軟らかい)がエノンのβ炭素を攻める1,4付加と対照的。

Step2

メトキシド脱離(ケトン=プロピオフェノン生成)

Step3

2回目のGrignard付加(アルコキシド)

試薬・条件EtMgBr(2当量目)

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この段のあと
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2当量目のGrignardのエチル等価体C30が、より反応性の高いケトンのカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素C7を攻撃して新しいC7–C30結合を作る(A)。玉突きでC7=O8のπ電子が酸素O8へ降りてアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。(O⁻)になる(B)。C7はエチル2つとフェニルを持つ第三級アルコキシド(Mg塩)になる。

Step4

後処理:プロトン化(第三級アルコール完成)

試薬・条件H3O⁺

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生成物(完成)
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後処理の酸でアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。O8⁻がプロトンH41を受け取り(C)、O40–H41の結合電子がO40へ戻って水になる(B)。中性の第三級アルコール=3-フェニルペンタン-3-オール(Ph–C(OH)(CH2CH3)2)が完成する。

考察

なぜこう進むのか

原理
Grignard試薬は硬い炭素求核剤電子が余っていて、電子の足りない相手(求電子剤)へ電子対を差し出して結合をつくる化学種。カルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素に1,2付加する。エステルでは『1回目の付加→四面体中間体カルボニルに求核剤が付き、炭素がsp3の四面体形になった中間体。→メトキシドが脱離してケトン』となり、生じたケトンは出発エステルより反応性が高いので止まらず『2回目の付加→アルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。』まで進む。だからエステル+2当量Grignardは第三級アルコールを与える(同じアルキル基が2つ入る)。
選択性
Q.なぜケトンで止まらず第三級アルコールまで行くのか
A.中間に生じるケトン(プロピオフェノン)は、脱離基結合の電子対を持ったまま分子から抜けていく原子や原子団。抜けたあと安定なほど良い脱離基となる。(OMe)を持たない分だけ出発エステルよりカルボニルが反応性が高く、系中に残ったGrignardがすぐ2回目の付加をするから。ケトンで止めたいならWeinrebアミド等を使う。ここは2当量なので第三級アルコールが主生成物。
駆動力
C–Mg結合の強い求核性でカルボニル炭素へC–C結合を作る。1回目はメトキシド脱離でケトンへ、2回目はアルコキシド(Mg塩)を作り、後処理の酸でプロトン化分子が水素イオン(H⁺、プロトン)を1つ受け取る操作。酸性条件でよく起こる。して安定な第三級アルコールに固定される。
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検算 Verified

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矢印⇄結合変化の整合整合 — fail=0 / check=0(全4段)
電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C11H16O
PubChem 照合未照合 — キャッシュに結果なし
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