Moleculus
有機化学リファレンス

LiAlH4 Reduction of an Ester

LiAlH4によるエステル還元

LiAlH4によるエステル還元:安息香酸メチル(PhCO2CH3)→ ベンジルアルコール(PhCH2OH、第一級アルコール)+メタノール。LiAlH4がヒドリド(H⁻)を2回渡してエステルを第一級アルコールまで還元する反応。

全体式

出発物から生成物へ

+ +
基本形 General Form

反応の基本形

R–CO–OR' → R–CH₂OH + R'OH

LiAlH₄・無水エーテル → H₃O⁺後処理カルボニルへの求核付加(ヒドリド還元)

強力なヒドリド源LiAlH₄がエステルにH⁻を2回渡し、第一級アルコールまで還元する反応である。

機構 Mechanism

反応機構(段ごと)

巻矢印はA=攻撃 / B=脱離・π形成 / C=プロトン移動。本文の (A)(B)(C) は図中の同色の矢印を指します。

Step1

1回目のヒドリド付加(四面体中間体)

試薬・条件LiAlH4

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この段のあと
12345678910202122232425

LiAlH4ヒドリド電子対を伴った水素(H⁻)。還元剤からカルボニルの炭素へ移って還元する。H20(電子対を持つH⁻)がエステルのカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素C7を攻撃して新しいC7–H20結合を作る(A)。玉突きでC7=O8のπ電子が酸素O8へ降りてアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。(O⁻)になる(B)。C7がsp3四面体中間体カルボニルに求核剤が付き、炭素がsp3の四面体形になった中間体。になる。Li⁺・AlH3は対イオン/副生。

Q.なぜヒドリドがカルボニル炭素を攻めるのか

A.Al–H結合の水素は電子豊富なヒドリド(H⁻)として働き、電子不足なカルボニル炭素(δ+電気陰性度の差で結合の電子が偏り、δ+とδ-の部分電荷が生じること。)へ電子対ごと渡るから。金属水素化物はカルボニルへのヒドリド求核付加求核剤がカルボニルなどの二重結合に付き、π結合が開いて新しい結合ができる反応。剤。

Step2

メトキシド脱離(アルデヒド生成)

1234567891020
この段のあと
1234567891020
Step3

2回目のヒドリド付加(アルコキシド)

試薬・条件LiAlH4

1234567820303132333435
この段のあと
1234567820303132333435

2回目のヒドリド電子対を伴った水素(H⁻)。還元剤からカルボニルの炭素へ移って還元する。H30がアルデヒド(ベンズアルデヒド)のカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。炭素C7を攻撃して新しいC7–H30結合を作る(A)。玉突きでC7=O8のπ電子が酸素O8へ降りてアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。(O⁻)になる(B)。C7はH2つを持つ第一級アルコキシド(–CH2O⁻=ベンジルアルコキシド)になる。

Step4

後処理:プロトン化(第一級アルコール完成)

試薬・条件H3O⁺

12345678203040414243
生成物(完成)
12345678203040414243

後処理の酸でアルコキシドアルコールのO–Hが外れ、酸素上に負電荷を持った陰イオン。強い求核剤・塩基である。O8⁻がプロトンH41を受け取り(C)、O40–H41の結合電子がO40へ戻って水になる(B)。中性の第一級アルコール=ベンジルアルコール(PhCH2OH)が完成する。エステルがヒドリド電子対を伴った水素(H⁻)。還元剤からカルボニルの炭素へ移って還元する。2回で第一級アルコールまで還元された。

考察

なぜこう進むのか

原理
選択性
Q.なぜアルデヒドで止まらず第一級アルコールまで行くのか
A.中間で生じるアルデヒド(ここではベンズアルデヒド)は出発エステルよりカルボニル炭素と酸素が二重結合したC=O構造。炭素が電子不足で、求核剤に攻められる。の反応性が高く、系中のLiAlH4がすぐ2回目のヒドリドを渡すから、–CH2OH(第一級アルコール)まで一気に進む。アルデヒドの段階で止めたいときは、より穏やかで低温のDIBAL-Hなどを使う。
駆動力
Al–H結合からヒドリドがカルボニル炭素へ渡り、強いO–Al結合(アルコキシドのルイス酸電子対を受け取る側の酸。空いた軌道を持ち、相手の孤立電子対を迎え入れる。付加体)ができるのが駆動力。後処理の水でO–H(アルコール)に変わる。
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検算 Verified

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矢印⇄結合変化の整合整合 — fail=0 / check=0(全4段)
電荷保存保存 — 全段で電荷保存
中間体の鎖の連続連続 — 中間体の鎖が連続
生成物への到達(内部整合)到達 — 看板の生成物が機構中で実際に生成
生成物の分子式C7H8O
PubChem 照合未照合 — キャッシュに結果なし
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